フィンガーボウル
私達日本人がなかなか行き慣れない洋食のレストランなどでは、緊張しながら次々と給仕されてくるメニューを待つことはありませんか。どきどきして、洋食のテーブルでのマナーのことが頭から離れなく、料理を味わうことをすっかり忘れて二の次になってしまうこともありますよね。そんな緊張をさらに助長させるのが、フィンガーボウルの出現ではないでしょうか。
ガラスや金属製の直径11センチ、高さ4.5センチ程の小さな器のような入れ物に水が入っていて、初めて見ると飲み物と間違うことも多々あります。その昔、帝国ホテルで行なわれた晩餐会で客人が間違えて、フィンガーボウルの水を飲んでしまい、主催者がお客に恥をかかせまいとして、自分自身もフィンガーボウルの水を飲んだという逸話が残っているほどです。それほど、フィンガーボウルは不思議な存在でもあるのです。
フィンガーボウルの役割
さて、その器に入った水は何のために使われ、どのような使い方のマナーがあるのでしょうか。海老やカニなどの素手の助けを借りて食べるメニューが出されるときに料理と一緒に運ばれてきます。水のみではなく、場合によっては指先の消臭のためにレモンやコリアンダーを浮かべ入れてあることもあります。一般的にフォークとナイフを使う洋食のメニューの中で、どうしても手をじかに使わなければならない洋食メニューの時に出されます。要するに、フィンガーボウルが出てきたということは素手の助けを借りて食事をしても良いですという目印でもあるのですね。
できるだけ静かに上品に
しかし、手を使用しなくてもナイフとフォークだけで食べることができるのなら、フィンガーボウルが出されたからといって無理をして使わなければならないというマナーはありません。フィンガーボウルの正しい使い方は、その素手を用いて食べたメニューの後にフィンガーボウルの中に指の第二間接まで、片方ずつ入れて指先の汚れを落とします。その場合、ばしゃばしゃと音を立て荒々しく洗ったり、手のひらまで水につけたりするのはマナー違反になるので気をつけてください。できるだけ静かに上品に指先の汚れを洗い流しましょう。そして、最後に膝の上に置いていたナプキンで濡れた指先をふきあげて、フィンガーボウルの使用は完了となります。
何のためにどのように使うフィンガーボウルか知っているだけで、緊張する洋食の席のマナーにも心にゆとりを持つことができて、ゆったとした気持ちで臨むことができますね。
